「栗の実」

細長き かの花にして 栗の実に 生るを不思議と 思ふ山の辺

「雨上がり」

雨粒を 溜めて蜘蛛の 巣たわみたる 煩はしくも きららの美し

「出来事」

日々に 載る殺伐の 記事を読みしとて 驚きもせぬ 免疫を恐る

「野面にて」

野の道に 孫の二人は 向き合ひて 蚊帳吊り草を そろりと割(さ)きをり
草笛の 鳴らし方孫らに 教へやる 青臭き味 なつかしみつつ

「好天」

つつがなく 今日を終りて ふかふかと 秋陽吸ひたる 蒲団にねむる

「黄昏」

軒先に いまだ吊らるる 風鈴の 鳴るも寂しや 秋深みつつ