一人旅の記憶

一人・・そんなひとときが無性に欲しくなった。

海が見たい・・ふるさとである海底へ還り

魚と戯れ

私は

海底から《青い太陽》をみたい。

きっと、なにか見つかるかもしれない。

 

  5月20日

22時30分出航の「ストレチア丸」に乗船。

私の落ち着く場所は、特1等14番53号室。

14号室は、四人部屋。後から誰か来るかな?どうかな・・・

出航の合図の「ボッーー」が鳴ってもダアレモこなかった。

「ヤッタアー」‥本当にひとりだ。だって、17.950円支払って

いるのだもの。このくらいの天国は味はわなくちゃ。

ベッドには水色のイルカの模様の寝具があり、

なかなか快適に過ごせそうな部屋だった。窓外を見ると八丈島の

中学生達が乗り込んでいた。あの中学生達は、一番下のDデッキの

小さな丸窓の部屋に雑魚寝するのだろうな。

私だけリッチでごめんね。Fさんに「デッキへ出て夜景を見るといい」と

言われていた。そうだ、デッキへ行ってみよう。

デッキに出てみると、誰もいない・・

もう、とっくに仕事は終わっている時間帯なのに、

ビルの窓という窓からはたくさんの灯かりが瞬いていた。

その谷間には真赤な東京タワー。〜なんて綺麗なんだろう。〜

こんな夜景をひとりで観ているなんて、

こんな時は、ふんわりとあったかい人の肩にもたれて観たいもの

・・まっひとりなのだから、しゃあないね。

カメラを竹芝桟橋へ向けて。パシャ‥パシャ。

夢中で撮り捲くっていると、船内アナウンスで直に消灯になる

という。もう11時なのだ。船が出ると直に暗い海になってしまう。

これから10時間の船旅だ。明朝9時10分に八丈島へ着き、

私はひと時の島民となる。波の音、エンジン音で度々目覚めたが、

ひとりという開放感が私を眠らせてくれた。

5月21日

明け方5時前、三宅島へ到着するというアナウンス。

窓から見ると三宅島の桟橋が見え、どんどんどんどん近づいてきた。

5〜6人の人が降り、出発は5時50分だという。

出航の準備をしている職員が朝陽で赤く染まって見えた。

Aデッキに上がってみると船の後方に朝陽が真赤に輝いていた。

海が燃えている・・・

本当に真赤だ・・こんな朝陽を見たのは以前はいつだったろう・

「撮れるかな。どうかな」と思いながらシャッターを切る。

 

         

 

  人影はまばら・・けれど若い女性が目を細めて、眠そうな顔で。

昇ったばかりの真赤な太陽を眺めていた。

今日はどうやらピーカンだ。陽が完全に昇ると蒼い海がきっと

綺麗だろう。「おはようございます。素晴らしい太陽ですね」と、

突然声がかかる。若い女性【私と】への声かけだった。

声のほうへ目を向けると白髪混じりの男性が立っていた。

三人同時に「きれいですねえ」!

「八丈島はいい所ですよ、今日は天気もいいし、海が真っ青でしょ」

という。普通なら「どちらまで」などと聞くところなのだろうが、

この船の目的地はただひとつ・・「八丈島」

3人ともただ黙って太陽を眺めていた。

そこで、八丈島で、定期観光バスに乗ったり、初めてダイビング

することを話すが、若い女性は、ただ無言・・・

かの男性は、「八丈島は眺めは雄大だし、花も綺麗だし、温泉も

あるし」と、宣伝のしっぱなし。どうやら八丈島の住人らしい。

 部屋にもどり、ウトウトしていると、突然船が揺れはじめた。

「なっなんなのよ」・・ベッドの中でシットと蹲っている。

今、6時30分。まだ3時間は船の上。「ああ、どうしよう」。

ベッドの中で揺れに合わせて呼吸をしてみた。

これが意外と効き目があって、酔いそうな感じが薄らいできた。

《あっトイレ行きたい》・・・。どうしよう。どしょう。

もう、我慢できない。!!

思い切って立ち上がる。体がユラユラする。「おお、酔いそうだ」

でも、いかなければ!    ドアを開け狭い廊下に出てみた

すごい揺れ。「あぁあ、なんで船なんかに乗っちゃったんだろ」

などひとりぶつぶつ言いながら・やっとトイレにたどり着く。

体はすっきりしたのに、足が思うように進まない、

狭い廊下の壁にぶつかりながら、

まるで、酔っ払いの千鳥足のよう。やっとやっと14号室へ

たどり着く。後は、大人しくベッドの中にジィットしていた。

7時半頃、八丈島到着は9時30分予定」とアナウンスがあった。

「エッまだ2時間も揺られているの。いゃだなあ」・・と

思ったけれど。自分で選んだ船旅と諦め、思い切って起き上がり、

Aデッキへ行ってみる。若者達が輪になって談笑していた。

「おはようございます」と挨拶すると大きな声で

「オハヨウゴザイマス」が返って来る。。実に気持ちいい。

まだまだ八丈島は見えない。ボーット海を眺めていると、

 

船の揺れは余り感じられないから不思議。肌寒くなり、

手摺に掴まりながら、部屋に戻るが。戻って横になれる

ベッドがあるということは最高の贅沢。

食堂が開くとのアナウンスに誘われ、揺れに注意しながら

Aデッキの食道へ行って見る。ことにする。こんなに揺れている

のに、食べようとする気は何処から湧いてくるのだろうか。

お客は2人しかいないところを見ると船酔いの人が多いのかな、

朝定食650円の食券を自動販売機で買いおじさんに渡すと、

係りのおじさんが「気をつけてよう」といいながら、

お盆に載った朝定食を渡してくれた。凄い揺れにお盆を落と

しそうになったけれど傍のテーブルにドカッと置いてセーフ。

ご飯・漬物・しゃけ。味噌汁。悪いけれども、超不味い。

半分以上残したら、おじさんに睨まれた。《

だって、不味いものしょうがないじゃない》。

9時デッキに出ると目の前に八丈富士が雄大に聳え立っていた。

ウトウトしているまに、こんなに近づいていたのだ。

            

あの島に私を待っている人がいるのかな・・いるはず無いね。

遠く船旅して、逢いたい人に会う。なあんてことだったら素的

なのだけれど。たけど私は一人旅。島が近づき、白い建物も見え

始め、宿泊するホテルPも目に入ってきた。

桟橋が近づいても、波が荒くなかなか接岸できない。

黒潮の影響なのだろうか、竹芝桟橋から290km11時間の

船旅が終わった。

大島〜利島〜新島〜式根島〜神津島〜三宅島〜御蔵島〜八丈島。

八番目の島だから、八丈島という説もあるとか。

太陽と風と華と緑の黒潮に浮かぶ八丈島へ上陸。

島では常春の島というそうだ。

目の前には、紺碧の海が゛何処までも広がっていて、気分は最高潮・・・

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