《  食事を終えて、チョットした登山へ  》

 

食事が終わると、新浜さんが表で待っていてくれた。

夫サンに向かって「美味かったかい」・・・・・。

「ウマカッタ」と夫サン。

「そりゃあよかった、じゃ、これから、チョット、きついけれど、利尻山の五合目まで

行きますけど、登れるかなあ」

「う〜ん分からないけれど登ってみます。チョットね。私がきついかも知しれないの」

グニュグニュ曲がる道を登っていくけれど、完全舗装になっている。

話によると皇太子殿下がこられたときに、島のあらゆる所が舗装になったのだという。

展望台への駐車場に着くと、素敵な建物があった。売店なのかなと想ったら、

「すげえトイレだろう、みんな売店かとおもうだよ」・・・・。

駐車場には、バイクが一台。あるだけで、風がピューピュー吹きまくっていた。

ハイマツの中を鎖につかまりながら、ハアーハアーハァーハァーいいながら、登り始めた。

チョット、心臓が苦しいなあ・・・。

夫サンは、右手をブランプランさせながら、私より先に、歩いていく。

休み休み歩く私に、新浜さんが「大丈夫」と心配げに聴いてくる。

「手を引いてやっかあ」というので、鎖に掴まるからと、道の真ん中にある鎖に体を預けながら、

あえぎあえぎ登ってみた。

「いい景色がまってるだあ、頑張れやあ」と言われてしまった。

 

お〜い・・夫さあん。

待っててえ、と言っても、先に行ってしまう。

薄情者めえ〜。私は苦しいのだぞう。

イクラより、ウニのほうが力がつくのかなあ。

この道は、段段に見えないけれど、

3歩 歩くと、少しづつ上がっている。

 

あの上まで、行けば、いい景色に出会える。それだけを想って、ひたすら歩いた。

「苦しそうだな、大丈夫かな」

「ガンバレや・・ガンバレや・・♪♪」 と歌いながら私の後ろを歩いてくる。。ホントニ楽しい人。

道が左に曲がっていた。曲がって見上げると、東屋が見えた。

ああ〜〜展望台だわあ・・・やっとやっと到着。

そこには、雄大な景色が待っていてくれた。

登りきった右手には、利尻山の頂上が見えて、真っ青な空には白い雲が・・・ゆった〜〜りこ。 

「登ってよかったべさあ」・・・私は、息が切れて 「うんうんうん」と 首を振るだけ。

気持ちいい〜〜なあ。「ウ〜〜〜〜ン」と思い切り伸びをする。

 

汗ばんだ肌に、風が心地よく通り抜けて、

休み 休みハアーハアーいいながら

登ってきた甲斐があった。

しばらくは、細長い木製のイスに

寝転んでいたけれど、

起き上がって見渡してみると・・・。

 

 

ハイマツの 樹海と眼下には青い海。

見上げれば、標高1721mの利尻山の山頂が見えた。

テク テク テク テク 下山の楽なこと。

駐車場のところで、ダテカンバの林を撮ろうと想い。

ファインダーを覗いていると、体が徐々に下がってしまい、とうとう寝転がってしまう。

北海道の写真を見せてくれている。ナナタンさんのダテカンバが、目の底にちらついて、

寝転がってしまったのです。

「何やってんのう」といいながら、新浜さんが同じ態勢をとったら、

夫さんまで ゴロン・・・。

車で下り始めたら、ノロノロ運転・・・。

「まだ咲いているかなあ」

「何の花ですか」

「赤いタンポポだよう」といいながら、キョロ キョロ キョロ キョロ。

右を見たり、左を見たり、

「見せてあげたいなあ」といいながら、探してくれたけれど、

とうとう一本もなくて、赤いタンポポに会うことができなかった。

「可愛くてね綺麗なんだあ」・・・と、見られなかった私達よりも、

見せられなかった新浜さんのほうが、がっかりしているみたい。

そしたら・・・急に ♪ドントト゜ントドント波乗り越えええ〜てええ〜♪と歌いだして、

「しってるか〜い」という。すると。夫さんが、

「知ってるよ・・・・♪いっちよう、にちょう さんちょう〜〜フニャフニャフニヤ♪」・・・と歌いだした。「ご主人・・いい声してますねえ。」

おだてられて、満足げに、夫さんはニコニコ顔。その歌の場所へ案内しますといい。

沓形岬という所へ案内してくれた。ここで 「ドントの歌が出きたんだ」 と言う。

向こうに礼文島が見えて、波がドンブリコしてました。見上げた空が真っ青だった。

 

 

空を見ていたら、可愛い声がした。

「写真を撮ってください」と言って、若い女の子がカメラを差し出した。

パシャリと一枚。

「綺麗な空ねえ」と言って、二人で空を見上げてしまった。

そして・・・。

目を落とした、バスの向こうに見える半島が切り崩してあるのが見えた。

ちっょと痛ましい感じだったので、

「あれは」と聴くと

「砕石してるだあ」

「砕石??」

「うんだあ・・あの砕石のおかげで利尻町は潤っているんだア」と言う。

「この石だよ」と言われて足元を見ると緑がかった石が敷き詰められていた。

「まだまだ何十年も砕石できるんだ」と言っていたけれど、景観が損なわれていってしまうな。

とチョット残念な気がしないでもなかった。

 

時刻は、もう 3時半を回っていた。

「夕陽が撮りたいのだけれど」

「そうか、夕陽か、そんじゃあ ホテルへ一旦行って、5時過ぎに迎えに行くよ、

その間にいい場所を探しておくから」・・・と言ってくれた。

4時に利尻Mホテルへ到着。ホテルのおじさんが、お出迎え。

ホテルマンと言うよりは、やっぱり、ホテルのおじさん。

ホテルでチョットだけ、揉め事があった。

通されたお部屋にベッドが三つ・・・。??

「なんで、三つもあるの」・・そして、お部屋も狭い。

【おかしいな。ツインを頼んだのに」・・・。

「すみません。手違いで・・・・明日は、ツインをご用意いたします」・・・だって。

 5時、新浜さんが迎えに来てくれて

「いい場所を見つけたよ」と言い、15分ほど走った海辺へ連れて行ってくれた。

もう、太陽が沈む準備をしていた。

カモメがキューンキューンと鳴き、、岩場の浜には、誰もいなくて、左手のほうには、

崩れかけた廃屋があって、空は、青を少しづづ 黄色から赤へと 姿を変えていた。

赤い太陽が、海を茜色に染めながら、薄闇の水平線へ沈んでいった。

岩が多い所だったので、夫さんは、新浜さんとお話???

私だけが、岩場にへばりついて。水平線へ沈んでいく太陽を追いかけていた。

 

ホテルヘ着くと、新浜さんは、夫サンに

「明日9時半の迎えにくっからね」と言った。

「ハイ、お願いします」

結構、新浜さんは、失語症の夫サンにも気を使って、話が分からなくとも、話し掛けてくれていたのです。