お地蔵様の賽銭箱が

 

新寺(にってら)というバス亭のところに 

おおきな祠があって、そのなかに 

お地蔵様がいらっしゃるの。

そのお地蔵様を順番で、お掃除するのだけれど 

年二回くらい番がまわってきて、

二人でお地蔵様を綺麗綺麗します。

今月は私の家とお隣の番でした。

9時ごろ「行きませんかア」と声をかけられて 

お隣の奥さんと一緒に 

お掃除へと行きました。

私は、祠の周りをサッサッと掃いていたのです。

お花を取り替えたり、祠の桟を拭いたりしていたら・・・・

突然 

「まあちやさん、みてみて、ほら こら お賽銭が」と言いながら 

祠の中へ頭を入れて 叫んでいました。

私は「なになに、どうしたの」 と言って

覗き込んだら 引き出し状になっているお賽銭箱が 

引き出されていて

その中には五円玉と一円玉があるだけでした。

「アラー―賽銭泥ちゃん」

「よく持っていく気になるねえ」

「きっと罰あたるよねえ」

「何で持って行く気になんかなるのだろうねえ」

このお地蔵様のお賽銭箱は 

以前、 鍵をかけていたのだけれど 

すぐ壊されてしまうので、鍵を掛けないことにしたの。

そのかわり、毎日お地蔵様の傍の方が回収しているのです。

今回は、その回収の前にやられてしまったみたいでした。

そんなに多額のお賽銭はないはずなのに、 

少しのお金を 

持って行く気になってしまうのはどういうことだろうね。

お地蔵さんは、お賽銭箱を引き出して 

中のお金を持っていくところを 

ちゃんと見ていたのよね。

持っていった人は【得したと思ったのかな】・・・。

きっと いいこと ないとおもうけどなあ・・・・。

そして・・・また、お掃除に取り掛かった私達に 

「おはようございます。 ご苦労様です」と

声を掛けてきた若い男の子がいました。

彼は、挨拶するとお地蔵様に向かって 

ピタリと 手を合わせて

長いこと何事か祈っていました。

【何をお祈りしているのかな】・・・。

静かに息をしながら、そっとそっと祈っていました。

道端のお地蔵様に手を合わせるのは 

すぐお年寄りに繋がってしまうけれど

お地蔵様に、手を合わせる若い男の子の姿は 

とても 素敵だった。

お賽銭箱の いやーーーな気分が 

少しだけ拭われたようだったのです。

 

2001.11.11