風の野辺の送りで・・

 

 

 

茅葺の家の野べの送りの日は、雪の予報を覆して 

青すぎる冬空と強風。

 風に流されたのか雲ひとつない。

黒に身を包んで、緩やかな坂道を登りきり 

枯れてしまった色のない庭に

じっと佇んで 経に聴き入っている。

秩父連山から吹き降ろす寒風が 

爪先から這い上がってきた。

体は徐々に強張り、肩に力が入ってくるのが

はっきりと感じられ

感覚が徐々になくなっていった。・・・。

そんな中での野辺の送りは辛いものがある。

 

吹き上げられた木の葉が、

黒に身を包んだ人々の背中を 

しりもちをつきながら 更に寒風に吹き上げられ 

宙を舞っている様を

ぼんやりと目で追っている・・・私。。

 

枯れ果てた木の葉と まだ緑を残した葉までが 

無数の小さな小鳥のように空中を舞っている。

 

今、野辺の送りをするT子さん88歳。

路上で血だるまとなって 逝ったあの少年は17歳。

生き方も 生きた年月も あまりに違うけれど、

枯れた木の葉と

緑を残す葉が 

T子さんと少年のように思われた。

一緒に高い所へ昇っていくんだな・・・・。

一緒なんだ・・・よかったね・・

一人一人じゃなかったね。

そんな語りかけをしたら心の底の方を 

ふっと温かいものが流れていったようだった。

 

読経の流れる中焼香を済ませた人々は 

心なしか

ほっとした表情で 坂を下っていった。

 

2001.12.26