お雛様

 

ひとり、カートを押しながら、スーパーのドアを入ると。

♪灯りをつけましょ〜雪洞に〜・・の曲が流れていた。

 

「ああ、もうじき、雛祭りなのだ」・・と一人つぶやきながら、

あられとか、白酒とか、菱餅を手に取って・・買おうかな!!。

 

結婚した翌年に、父と母が送ってくれた私のお雛様。

もう数年、出していないことに気がついた。

籠の中へ、菱餅・アラレ・白酒をそっと入れてみた。

かっちゃおう・・そして飾ってみよ!!

 

小雪の舞う中、家へ帰り・・・。

天袋から、壊れかかった箱を静かに静かにそっと下ろして、

蓋を開ける・・・・・。

ガラスケースの中には、お内裏様とお雛様。

三人官女、橘と桜、菱餅の台・・・。

それらと一緒に

息子達が、まだ、小学校にも行かない時に作った

紙のお雛様が出てきた。

そうよそうよ・・あのころ、ここへ入れておけば、、ずっと

取っておける、ナクサズニ、壊さずに、捨てずに

ずっと取って置けると思っていたっけな。

ああ、懐かしいなあ、あの頃は、「おかあさん、おかあさん」

なにが、なんでも、いつもいつも「ねっおかあさん・・・」だった。

親離れしたのはいつだっただろう。

子離れしたのかな・・私は。

小さな手で、唇かみ締めながら作っていたっけ・・

もう、二十数年前なのに、

はっきりと思い出せるあの日。

 

ひとしきり、息子達の作ったお雛様を手で摩りながら

ケースに入れておいてよかったな、

取っておいて良かったな。。と想ったの。

息子達が父親になって、その子が、6歳になった頃に言って上げるんだ。

「これね。お父さんが6歳の時に作ったのよ」って。

私の孫になるその子供は、どんな目をして、これを観るのだろうか。

きっと、目を輝かせるのだろうなあ。

その日まで。。ここで待っていてね。

 

2002.02.12