お弁当を買いに・・・

 

左手さんは、二階に篭りっきり、私はといえば・・・

PCの前で、鬼コーチの息子から、左手の絵を別館に

移す作業に大童していたのです。

「あら、もうお昼になってしまうわ」

今日は、昨日買った、フカヒレのお粥にしようかと、

そそくさと仕度に取り掛かろうとすると・・・。

「お父さんに、コンビニへ行ってもらうんだろう」と息子の声。

【あっそうだっけ、さっきまで覚えていたのに】

「おとうさあん・・コンビニにお弁当を買いに行く約束よう」と

二階へ声をかけると・・・。

「おーーー」と返事。

しばらくすると、茶色のバッグを肩からかけて

降りてきた。

「お弁当・・煙草のキャスターワン」と

書いた紙切れを渡しながら、

「じゃ・・お弁当は一つだけでいいから、あとね、

好きなものあったら買ってみてね」、

「ああーー」

「じゃ、気をつけて行ってね、急がないでね。信号よく見てね」

「じゃ」と言って、左手さんは、コンビニへ向かいました。

我が家から、400メートルくらいの所のコンビニなのです。

家をでたのは、11時45分・・。どのくらいかかるかなあ。

多分、30分はかかるな・・と想いながら、

二階の窓から、ずっと向こうに歩いていく、左手さんを

見えなくなるまで、見送っていたのです。

【大丈夫かなあ】・・だんだん心配になってきてしまって。

自然と・・私の手は・・・、電話に伸びてしまった。

「もしもし、お忙しい所もうしわけございませんが・・・」と

コンビニへ架けてしまったのです。

「主人が今、そちらへ伺うと想いますが、言葉が不自由ですので、

お手数かけると想いますが、よろしくお願いします」

「あっそうですか・・分りました、お弁当ですね」

「ええ、レジが混んでいたら、ご迷惑かけるかもしれませんが」

「ああ、そんなこと心配しないでいいですよ、

それより、帰られる時に電話しましょうか・・・」

「あ、ありがとうございます。電話は大丈夫です。

じゃよろしくお願いします。でも、

電話があったとは言わないでくださいね」

「はい・・・分りました」

 

やがて。。12時15分・・もう姿が見えるだろうと、

二階の窓から

身を乗り出して、観たけれど、全然姿が見えない・・

12時20分・・

まだ見えない・・「どうしたんだろう」・・

もうあの辺に見えていいはずなのに。。。

「何かあったかなあ」・・

「やっぱり一人で行かせなければ良かったなあ」

行って見ようかなあ・・と想ったら、遠くの方にゆっくりと歩く姿が見えた。!

「あっきたきた・・無事だったア」

だんだん近づいてくる姿にホットしている自分が、

なんだか滑稽に想われてきてしまった。

玄関を入ってきた左手さんは、得々とした顔で、

お弁当と、煙草と、ガムをバックから取り出したのです。

でも・・なぜか。。書いていったのに、

煙草は。。セブンスターになってしまっていました。

でも・・これで・・どうやら・・コンビニ通いは出来そう。

施設へ行きたくない一心で・・・

コンビニまで、行った左手さんでした。