入院しててね 1

 

三人床の部屋の、真ん中のベッドが、まあちゃの12日間の部屋。

スペースにすれば、約二畳ちょっとかな。

入院に慣れているとはいえ、ベッド周りを手早くセットできてしまうのが・・・

なんかね。おかしな感じだったわ。

同室のSさんは、もう半年いるとか。

もう一人のAさんは、複雑な病のようだったわ。

「う〜痛い痛い」と夜になると唸っていたの。

二人は、境のカーテンを決して開けないのよ。

自らの病の中に浸ってしまって・・

ベッドで顔を見合わせて話すことはなかったのね、

12日間、カーテン越しの語らいとなってしまった。

 

直近の映像が必要と言うことで、

15時過ぎに、摘出する腫瘍の超音波をしたのだけれど。

横になったままでいるので・・・はあ〜眠いよう〜状態だった。

「まあちゃさん終わりです」

「アラッ眠ってしまった」

「みなさんそうですよ、まあちゃさんは、いつも眠ってしまうものね」だって・・・。

 

あ〜お夕飯何かなあ。楽しみは、食事だけ。 

一生懸命食べて、体力だけはつけなくちゃ。

誰かが言っていたっけ。【三食昼寝付き】って。

そんなこと考えていたら、

「麻酔科でお話がありますので、行ってください」とのこと。

麻酔科のH先生がいいました。

※心臓は、全身麻酔に耐えられそうです。

※心臓の中に小さな塊があるけれど執ってみないと何者なのか分りません。

※その塊が時として、悪戯します。川の流れに浮かんだものが、

  澱みとなって、川の淵に貯まるのと同じで、血の流れを塞いでしまうことも

  あります。肺。頭・心臓・・・・。などの。

※でも、心配要りませんよ。万全の対策で当たりますから、心配しないでね。

随分、怖い話を聴いているんだな、一人で聴いていて、いい話なのだろうか

そんなこと想いながらH先生の話を聴いていた。

 

医師は、最悪の状態の話をするものさ。

そうなるとは限らないのだから、

気に止めないことにしようっと・・・。そう想っていたら、

主治医のT先生が、まあちゃのところへ着て言いました。

「麻酔科の話は家族の方にも聴いてもらいたいので、

息子さんの携帯へ連絡しましたので、またもう一度も聴いてくださいね」と。

 

20時近くに、息子と一緒に同じ話を聞く。

懇切丁寧に、じっくりと話してくださったせいで、

恐怖感とか、不安はなかったけれど、一緒に聞いた息子は

ショックだったかもしれない。

 

その後が、最悪だった。

もう、消灯時間になると言うのに、執刀医のK先生が、話があると言う。

「麻酔科の先生のお話の通りです。もし、怖いと思ったら。

今からでも手術止めてもいいですよ」・・・・と言った。

「はっ」と、まあちゃと息子は同時に声を発してしまった。

すぐ執らなければ、命にかかわるという

左背部の腫瘍ではないけれど、

痛みに耐えかねて、手術すると言うのに、

「止めてもいいですよ」は無いだろうにね。

まあちゃはだから言いました。

「手術はやりたいので、宜しくお願いします」と。

せめて・・麻酔科のH先生のように

「心配ないですよ、安心して受けてくださいね」と言って欲しかったな。

もう少し、患者の心の内を考えて欲しかったな。

そんな第一日目だったのです。

2002.05.11