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敬老の日にね

 

義母のハルちゃんの入っている施設で、

敬老の日の祝賀会があったのね。

まあちゃは、ひとり、川沿いの曲がりくねった細い道を、

グレーダーマンの『秋のささやき』を聴きながら

車を走らせました。

 

式典のあるホールには、

車椅子に座った高齢者の方がほとんどだったわ。

後ろのほうに、私たち家族が立っていて・・

まるで、授業参観。

ただ、みえる後頭部が、真っ白か、禿げているか、

腰が曲がってるかの違い。

『来てるかなあ・・・』そんな面持ちで、

数人の方が、チラッチラッと振り返るの。

手を振り応える家族。

ニコッと笑って顔を戻すオバアチャン。

無表情で顔を戻すおじいちゃん。

我が家のハルちゃんは、何処かなあ。

キョロキョロ探したら、

一番前に居た、一度も振り返らないのよ。

来てないと想っているのか・・・。

当然来てると想っているのか・・・。

記念品の贈呈のときに、

米寿代表の名前が読み上げられたのね。

そしたら、

「ハルさん」と我が家の義母さんの名前が

読み上げられたの。

あっハルちゃん代表になった。うれしいだろうな。

得意顔だったわ。

 

そして

それぞれの階での昼食会。

お赤飯の入った大きなお弁当箱。

美味しそうなおかずもいっぱい。

「今日はね、お昼がご馳走だって聞いたから、

朝、あまり食べなかったんだ」と

言いながら、

ハルちゃんは、ニコニコ食べはじめたのね。

でもね、チラーチラーって目線を

まあちゃのお弁当へ向けるの。

だから、『これ食べたいんでしょう』と言って。

まあちゃは、義母さんの方へ、

葡萄とメロンを入れてあげたの。

「ウンウンとられないうち食べちゃおう」と言いながら、

パクパク食べてしまった。

毎日毎週は、施設へ行って上げられないけれど、

引きこもりがちだったハルちゃんが、

だんだん明るくなってきて、

顔つきも穏やかになってきて、

小奇麗にもなってきたのよ。

施設の方の、

みんな家族・・・そんな気持ちの介護が

ハルちゃんを明るくしてくれたのだなと。。

感謝の気持ちでいっぱいになったのです。

ハルちゃんが帰り際に、

車椅子から、まあちゃを見上げて、言いました。

「まあちゃ、体に気をつけるんだよ、

無理すんなよね」って、

「うん、大大丈夫よ、・・ハルちゃんまた来るからね」

帰りたいだろうになア・・・と想うけれど、

一言も、

「家へ帰る」とは、言わないのです。

施設のほうがお友達も居るし、

遊んでもらえるからいいのですって。

本当に・・・そうなのかな?

 

2002.09.16