観音様

 

友達がドライブに行こうという。

だから、左手さんと彼女を乗せて、

西へ西へ走ってみたわ。しばらくすると左側の山頂に、

白衣の観音様が三体見えてきた。

救世大観音と呼ばれている観音様。

割合近くにあるのに、行ったことがない所なのね。

「あそこへ行こうよ」と彼女が言う。

まあちゃは、一瞬うろたえる、あんな上まで・・・・。

どんな道だろう・?

矢印に沿って左折すると、案の定、狭くて、急坂で、

クネクネ曲がって、薄暗くて、凸凹してて・・・。

ハンドルを握り締めながら、「怖いよう〜」と言ったら。

「大丈夫大丈夫」と、彼女は言うのよね。

まあちゃが助手席、後部座席に乗っていたとしたら、

「オリマス」って、大声で言ってしまうわ。

だから、

「二人とも、腰を浮かせてねえ、重いよう〜ヨイショヨイショ」と

掛け声をかけてしまったのです。

やっとやっと山頂に到着。。ふう〜〜と息を吐き出してしまった。

山頂の三体の観音様は、

青空の中にくっきりと浮かび上がっていたわ、

観音様の上まで登ってみようと彼女が言う・・・・。

狭い、らせん状の階段は、幅が70センチほど。

右側に手すりはついているけれど。

左側にはないのよね、

左手さんは登るという。

「危ないから」というと、「家の階段は登れる」というようなことを

言って、左側の支柱につかまり上を見上げ。

「登る」とまた言い、とうとう、コトンコトン登り始めてしまった。

肘のところで、L型に折れ曲がって固まってしまった右手は

ブラブラと動いていて、手すりにぶつからなければいいけれど・・・

左手さんを守るように、その後を彼女が登っていく、

「滑っても大丈夫。私が受け止めるからね」とガッチリ型の

彼女が言っていた。

すれ違いができないために、途中踊場があるのだけれど、

ふう〜と一つ目の踊り場で見上げると、薄暗い中に

延々と階段が巻きついて上まで伸びていたわ。

階段の幅は、50cm位で、急に狭くなっていた。

、勾配も急になって、「危ないな」・・・。

「戻ろう」と言っても、「イャだ。行く」。

「左手さんがこけると三人ともまっさかさまだよん」と言っても、

登り続けて・・・暗くて、表情は見えなかったけれど、

きっと歯を食いしばった真剣な表情なのだろうな・・・。

上へ行くにしたがってますます急になっていった。

まあちゃの心臓はドッキンドッキンし始めて。

登らせるんじゃなかった。

 

126段の階段を登り終えて、

最後の踊り場まで来たときに。。

そこにあったのは、まっすぐ伸びた梯子だった。

三人で、10段ほどのその梯子を見上げたら、

梯子の上には、扉が見えて、外の明かりが

見えていたわ。

左手さんは、梯子に左手をかけて、上のほうに見える扉を

見上げて・・・「だめか」と言った。

そうよね、梯子は両手で捕まらなくちゃ登れないのだものね。

名残惜しげに、上のほうの扉の向こうの明かりにさよならを言って、

ソロリソロリ降り始めたのです。

まあちゃは左手さんと同じように降りてみました、

右手をまげて、左手だけで、手すりにつかまってコトリコトリ降りてみたわ。

体が不安定になって、とても怖かった。

一番下までたどり着いたときは、左手さんは、

汗びっしょり。。冷や汗かなあ・・・・・。

 

受付に、ポツンといるおじいさんに、

「梯子が登れなかったわ」と言ったら。

おじいさんが言うには、梯子は観音様の首の部分だったとか・・・

とにかく、大冒険をしてしまいました。

観音様は遠くから眺めることにして、

もう、二度と登らないし、登らせないわ。

 

2003.09.25