感謝の日・・2

 

二日目の朝、二泊お借りしたマンションの一室で

五時に目覚めてしまった。

さあ、今日はどんな一日になるのかなあ〜。

どんな方たちが観に来るのだろう・・・なんていいながら。

スペース105へ・・・・・。

鍵をガチャリと開ける。

昨日、多くの方に見つめられてた絵たちもお目覚めのようだった。

 

受付のところで芳名帳やポストカードを整理している左手さんは、

「まったくなあ〜」なんて言葉をはっきり出しながらニコニコしていたわ。

そのうち、ちらりほらり「お友達に聴いたので」と言いながら来られた方は、

入ってくるなり、

「ふ〜ん左手で、描いたんだ〜」なんて言いながら、見入っていたわ。

師事されたわけではなく、まったくの私流の描き方の絵をみて、

感心されて左手さんは大満足だった。

私たちは、その言葉を素直に受け入れていたのね。

 

そのうち、お友達のNさんがご夫妻で見えたり、Sさんが来たり、

ニコニコと談笑して、Sさんとの久しぶりのご対面に左手さんは満足げだった。

そして

一人の男性の方が、一時間近く観て、帰られたのに

しばらくするとまたこられた ?

そして、真ん中に置いたパネルの向こうで、その男性の方と、

テーブルに向き合って、左手さんは、お話していたようだったわ。

まあちゃは、新しく来られた方に「この絵は・・・」と問いかけられたので、

絵の説明をしていたら、

突然、左手さんの大きな声が聞こえてきた。

 

 

難しい言葉や早口だと、聴き取ることが困難となり、

理解できない部分がある左手さんは、

その方の言葉の全部を理解できなかったために、

勘違いをして、気分を損ねてしまったようだった、

感情が高ぶって、何を言っているのか分からない言葉を口走っている。

「伝わらなかったみたいです」と言いながら

その方は、足早に帰ってしまった。

「どうしたの?」と聴いても・・・言葉は異国語のよう。

Sさんも、左手さんに色々と話しかけてくれている。

「感動してくれている人がいるじゃない。ねっ、yukioさん」と言ってくれていたわ。

話の様子だと、絵の本を見せられて、何かを伝えられていたようだった。

その方は多分、【絵というものは・・・・云々】ということをお話されたのだろう。

左手さんのために何かを伝えてくれたのに、意思の疎通が

出来なくて、感情に走ってしまったようだった。

ゴメンネ、そばにいればよかったのにね。

とにもかくにも・・・・・チョットご機嫌斜めになってしまったのですね(^_^)

「はあ〜〜いろいろあるのよ、怒らない怒らない」と言ってきかせたのよね。

Sさんの「セーフ」の動作は左手さんのご機嫌取りには、大成功だった。

ありがとね(^_^)

やっとなだめて・・・でもあれだけ興奮するのは・・・珍しい。

一体どんな話をしたのだろう。

 

 

したら、ドヤドヤドヤとネットのお友達が入ってきた。話に花が咲いて ???

美女と対談が出来て、絵の説明も出来て、やっと笑顔が戻ったのよ。

まあちゃは、ほっとしてしまったのね、

あ〜いいところへ来てくれた・・・と思って、

みんなの手を握って、抱きついてしまったわ。

あっダンセイとは握手だけです。(#^.^#)

Hさんが、「これは、心の絵だよ」と言ったわ

いい言葉だとしみじみ思ったの。心の通う友達っていいものよね。

自己紹介されて・・・左手さんは、えっとう、えっとと、まあちゃを陰に呼んでは、

「あの人」・・・・なんて、名前を何度も聞いていたのよ。

 

 

お友達が帰った後、【言葉がでない】を読む人がいたわ

左手さんが倒れた頃、日記を書くことで、救われていたまあちゃは、

日記から「言葉がでない」を書き出したのよね。

じっくり座って、読んでいただけるなんて、とっても嬉しかった

 

 

この日は、同じように家族に障害を持った方とも触れ合うことができた。

T さんは、【言葉がでない】をズット読んでいた。

ご主人が、職場復帰をすることが出来ず、

強制的に退職させられた話を、泣きながら話してくれたのです。

肩を震わせて今まで、泣くことをしなかった

泣くことも忘れていたと言った。

まあちゃは、その人をしっかり抱きしめて、そして、

「泣くことも必要だよ、そして、一人の時間も持たなくちゃだめだよ」って言ったのです。

 

左麻痺の方が奥様と共に、「話を聴いて観に来ました」と言って、

絵をしっかりと観ていただいたわ。

「素晴らしい、努力したんですねえ」と言ってくれた。

そして、掲示板へ登場する、げんきっちさんご夫妻にも、おいでいただいたわ。

まあちゃのぺーじの詩のところに「負けてたまるか」の

闘病記を投稿していただいたげんきっちさん。

ご主人は失語症というけれど、しっかりと話されていた(^O^)/

彼女は、泣いてスッキリしたコツと笑ってくれたわ。

 

 

 

もう日がくれかかった頃、

まだ若い女性が、67歳になる父が脳梗塞で麻痺がある・・

けれど何もしてくれない。しようとしない。

何をやってもすぐにやめてしまう。字も上手になったのに、

練習しないから下手になってしまって・・・・と。

大粒の涙をこぼしながら訴えた。

そうなの、話すというよりは、

訴えてきた !!  そう思ったわ。

六ヶ月も経ったのに・・・・・と。六ヶ月という言葉をくりかえしいうのです。

だから、

六ヶ月という数字に決して、こだわってはいけないこと。

あせってはいけないこと、

六ヶ月は障害の固定

障害者手帳の申請・年金の申請に

よく言われる数字だということを、

泣きじゃくる彼女の肩を抱いて、まあちゃは伝えました、

同じ言葉を繰り返す彼女の言葉にまあちゃは耳を傾けていたのです。

そして、彼女は、

「あせらないで父と話していきます」といって、

ファイルした「言葉がでない」を抱えて

涙をぬぐって「泣いちゃってすみません」と言いながら、

スペース105を出て行った。

 

ふと、12年前の今頃、

倒れて、六ヶ月経った頃の左手さんを思い出した。

ご主人が障害を持って10年経ったという方に

「時がたては・・・それをまとうね」と言われたっけ。

あのときのあの方の手の暖かさを思い出した。

 

笑いと 涙と 怒りの 一日だったわ。

 

 

つづく (^_^)