痣・・・。


このマンションへ越してから6年、

お使いに出掛けた時に、時折すれ違う高齢の女性がいる。

彼女は、ご主人の後をうつむきながら

いつもひっそりと付いて歩いている。

ある時、彼女が顔を上げてワタシと目線があった。

彼女の顔半分は、赤痣で覆われていて、

鼻も口も少し曲がっている

見交わした目の優しさ柔らかさ穏やかさに

引き込まれて、

思わず「おはようございます」と言ってしまった。


彼女は聞こえないほどの声でわずかに頭を下げて

「オハヨウゴザイマス」と言ったようだった。

えっと

あの顔。あの目線。

えっと、どこかで会ったことがある。


えっとえっと

何度か会って会釈を交わしているうちに、

思い出した。

そうだ

あの人だ

299号沿いの山際にあった

ある焼却施設に住んでいた Y子さんだ。

年はワタシよりも数年上の人。

顔の痣で覚えているなんて…・・。

Y子さんは、ワタシを知らないだろう。

でも

生き切っていたんだと思ったら

なんかとても嬉しくなった。

素敵に結婚して年を重ねて

仲良くご夫婦で歩いている。


シッカリと生きてきた彼女に無言で何か大事なこと

伝えられた気がした

ワタシも自分の病など気にせずに

シッカリ生きていこうかな。



2013.03.10.(日)晴れ・・風強し